マガジンのカバー画像

designing|デザインビジネスマガジン

189
デザインの可能性を探究するメディア『designing』のnoteです。事業に寄与するデザインから、クラフト・クリエイティブ、デザイン思想・倫理、広義にデザインと捉えられる活動ま… もっと読む
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

デザインすべきは、「誰一人取り残されない」ための“場”──デジタル庁CDO 浅沼尚

浅沼尚は考えていた。 「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」というデジタル庁のミッションを、どうすれば実現できるのかと。 大橋 正司、広野萌、横田結、高野葉子をはじめ、デジタルデザイン領域で名の知られる面々が参画したことでも話題となったデジタル庁。2021年9月の創設から半年、いくつかのサービスがリリースされ、その都度耳目を集めてきた。 デジタル庁CDOに就任してからおよそ半年、考え抜いた浅沼の足元には、徐々にではあるが歩むべき道筋が見えてきているという。氏は

Figma日本法人設立。国内デザイナーコミュニティへの寄与を目指す

"make design accessible to everyone." 「すべての人がデザインを利用できるようにする」という言葉をビジョンに掲げる、デザインプラットフォーム『Figma』が日本進出を発表した。アジア初の拠点となる日本法人を設立し、今後数カ月以内を目処に日本語版のリリースを目指している。 英語以外では初のローカライズで、同プロダクトが日本市場の拡大へ意欲をみせていることが伺える。現状ユーザーの8割、収益の5割異常が米国外であり、その意味では海外拠点の展開

デザイン読書補講 13コマ目『評伝 フィリップ・ジョンソン 20世紀建築の黒幕』

こんにちは。中村として5回目のデザイン読書補講です。前回、柳宗理さんに触れながら、その生没年が20世紀をほぼそのまま飲み込むかたちゆえ、個人史と20世紀史、そして近代デザイン史が重なる凄みのようなものをおぼえました。そうしたなか、ふと、より強力に20世紀史と結びついている人物を思いだしたのです。 フィリップ・ジョンソン。1906年に生まれ、2005年に98歳で没した建築家。ふと、いまなにげなく建築家という肩書きをならべましたが、もしかするとそれ以前の肩書きでもあったキュレー

Slackに学ぶ、「全員が高い責任意識を持つ文化」を育む情報流通のデザイン:連載「クリエイティブ組織の要諦」第4回

連載『クリエイティブ組織の要諦』では、デザイナーをはじめとしたクリエイティブ職の組織作りのヒントを得るため、注目企業にインタビューを重ねています。数々のデザイン組織立ち上げを支援してきたMIMIGURI 代表取締役Co-CEO ミナベトモミを聞き手に、組織デザイン/組織開発の両面からヒントを探っていきます。 第4回に登場するのは、『Slack』を開発するSlack Technologies, LLC(以下、Slack)です。『Slack』がどのようなプロダクトかは、もはや説

​​永吉健一×石川善樹|「共にいる」ことで実現する、みんなのためのデザイン

2021年10月に受賞作品が発表された、2021年度グッドデザイン賞。さらに議論を深めるため、受賞作の選定とは別の切り口からデザインの潮流を見出す特別チーム(フォーカス・イシュー・ディレクター)を編成した。「フォーカス・イシュー」では、課題や今後の可能性を「提言」として発表する準備を進行中だ。 フォーカス・イシュー・ディレクターを務める予防医学研究者の石川善樹が取り組むテーマは、「将来世代とつくるデザイン」。「『誰と』デザインしたのか」という作品の制作プロセスに注目すべく、

デザイナーは、良き“媒介者”であれ──BCGDV花城泰夢

「そもそも自分って本当に“デザイナー”なのか?と思うくらい悩みました」 取材の冒頭で花城泰夢が発した言葉は、彼のキャリアを端的に表していた。 ボストン コンサルティング グループ(BCG)において、大企業との新規事業創出を専門に行う組織であるBCG Digital Ventures(BCGDV)へ2016年にジョイン。5年が経った今、その肩書き(Partner& Director, Experience Design)にはDesignに加えてPartnerという文字が並ぶ