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designingはメディアからプラットフォームへと向かう第一歩を踏み出しました

本日、designingは今後の活動拠点となる新たなWebサイトを公開した。

この機に、これまでnoteで展開してきたWebメディアの機能を移行、コンテンツに限らずさまざまな価値発揮をするために、足場を整えた形となる。

これは、単に(自由度のある)独自サイトに移るということではない。正直、純粋な“メディア事業”と捉えるならば、読者も一定集まっており、関係性もあるnoteを中心に展開していくほうが、間違いなく効率は良いだろう。何より、designing自体noteを舞台にスタートした媒体であり、ここには人並み以上の思い入れがある。

それでも、designingがメディア機能を新サイトへ移行するのは、より大きな文脈があるから。本記事ではその背景と共に、今後の展開をお伝えしたい。

パーパスから考えた、プラットフォーム化

designingは、昨年10月の事業譲受に合わせ新たなパーパス・コンセプトを公開した。

ここにもあるように、designingはこれまでの「ビジネスとデザインの距離を近づける」というシンプルな機能を担う活動から、より抽象度が高く、射程の長いことを目指していく活動へと明確に軸足を移した。それを体現していく上で、不可欠だと考えたのが、新たなサイトだった。

新サイトのメディアでは、特集を軸にコンテンツを展開している。

ここに至るには大きく二つの背景がある。一つ目は、事業範囲の拡張だ。

これまでdesigningは、デザインとビジネスの距離を近づけるという役割を担うべく、「メディア」、つまり情報の流通という手段でアプローチしてきた。

しかし、今回掲げた「デザインを通し文化の土壌を耕す」というパーパスや「デザインの可能性を探究する」というコンセプトから考えると、メディアが担える役割は一部でしかない。

可能性を探究するには、深化と探索を繰り返せるような学びや研究的な側面も必要になるかも知れない。何らかの機会提供やマッチング、金銭的・技術的支援といったことも射程に入る。

中長期で変容を促すような“土壌”を作るには、緩やかだがダイナミックな変化を生むような教育やプラットフォームのような仕組み・構造を作ることも見えてくる。

もちろん、その全てを自分たちのみで手がけることはないかもしれない。ただ、パーパスへ接続される活動であれば、designingは何らかの形で力になりたい。そう考えたとき、多様化する活動を内在できる場が必要になるのは間違いなかった。

現状は「メディア」が主要機能のため、一定の多様性が生じてから場を作るという選択肢もあった。ランディングページだけを作り、メディアはnoteに残すことも考えた。ただ、数は多くはないもののすでに動きはじめた活動もあり、(本当に徐々にではあるが)多様化する筋も見えはじめてきている。

そして、情報の集約を考えると、外部との定常的な接点となるメディア機能は事業活動の中心地の同じ場所にあった方がよい。そう考え、新サイトをこのタイミングで動かすことにした。

「露出」ではなく「資産化」という価値

二つ目は、メディアにおける「提供価値の再定義」だ。

designingが提供する価値は、コンテンツ「露出」ではなく「資産化」にあると再定義した。そこから逆算すると、ビジュアル表現・コンテンツフォーマットの自由度を担保できる、独自サイトが必要だと考えた。

写真の縦横や配置位置、テキスト構成等の自由度を高く持たせている。現状はテンプレートのみで運用しているが、それでも表現幅は大きく取れるようになった。

一般的なメディアの価値指標で測定すると、designingは非常に弱い媒体だ。想定読者におくデザイナーは日本で20〜30万人ほどしかおらず、広告指標・露出量で計測されてしまうと圧倒的にパイが小さい。

他方で、手前味噌ながら、ことデジタル領域のデザイナーの間では低くないプレゼンスを有しているという自負もある。これまで出稿や協業の打診をいただいたクライアント企業からもその旨を評価いただく機会もあった。

ただ、その“プレゼンス”は一般的なメディアの提供価値のものさしでは測れない。私たち自身、いかにその価値を伝えるかは長年説明に窮してきた。

その解として見えてきたのが、「資産化」という言葉だ。

一般的に、コンテンツはフローとして認知されやすく、ゆえに流量の最大化(=露出量)を求められる。一方のストックとして捉えられれば、露出量ではなくそのコンテンツの品質や目的に寄与する度合いで評価がなされる。広報や採用広報では時折耳にする言葉だが、designingはここに強い自負がある。これは、プレゼンスの高いコンテンツを作れると言い換えてもいい。

実際、(出稿か否かにかかわらず)これまで取材させていただいた方からも、「記事がきっかけで〇〇に繋がった」「採用・広報の時、毎回活用してる」「考えやこれまでのキャリアが整理されて、説明しやすくなった」といった“何かに繋がる”ないしは“使える”という評価をいただくこともあった。

定量的な成果も後押しになった。例に挙げるのは、“デザイン経営に取り組むのろし”としてある企業から出稿いただいた記事広告の数値だ。

累積PV・Like数。初動の伸びが良かったにもかかわらず、それ以降に読まれている数の方が多い。一般的なメディアでは検索上位に来るようなコンテンツでない限りには、珍しい積み上がり方だ。

公開後の初動のPV(いわゆるフロー)としても一定の成果が出ていた記事だったのが、興味深いのはその後。一般的な記事ではPVの8割近くを占めることが多い「初動一カ月」以上に、それ以降の期間の方が読まれていたのだ。しかも4年近く経ついまでもその数は積み上がっており、資産として活躍する姿が、数字からも見て取れる。

無論、これは出稿元の企業がこのコンテンツを丁寧に活用し、採用活動や露出機会を作ってきた施策のたまものであることは間違いない。私たち単体で「資産価値」を生み出したわけではないものの、「資産となるものを作れる」という証左であるとは言えるだろう。

こうした「コンテンツの資産化」を考えると、写真やWebデザインを含めたビジュアル表現やコンテンツフォーマット等の自由度を高く持てる独自サイトの方が相性が良い。その都度扱うトピックや取材対象、与えたい印象等等に合わせ、視覚的な表現も最適化をするべきだからだ。その観点からも、独自のサイトが求められた。

資産化について以下に詳しくまとめました。是非ご覧下さい(22/6/8追記)

プラットフォームへの道を、ともに歩み仲間を

なお、今回メディア機能は移行するものの、note自体は別の役割で引き続き活用していく予定だ。

それは、本当に多くの読者がnote上にいることや、noteのコミュニティに私たちが共に可能性を探究するデザイナー・クリエイターの方々がたくさんいる––という定量的な理由もあるが、noteのミッション「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」が、私たちdesigningのパーパスにも近いと考えているという側面も大きい。

また、繰り返しになるがnoteがなければdesigningは生まれなかった。そのコミュニティに参加する一員として、何らかの形でプラットフォームへの貢献を通して恩を返していきたいと考えている。

現状、メディア移行後のnoteでの活動はいくつかの案を検討・検証している最中。すでに展開しているNewsletterやPodcastなどの分室的な役割も考え得るが、本体サイトと連動による価値発揮や、noteというコミュニティ性の高い場を活かした役割もありうると考えている。もし、何らかアイデアがあったり、この場を使いたいという方がいれば、気軽に投げかけて欲しい。

今回の新サイトを活かした展開は、今年後半に向けていくつか仕込みが進んでいる。夏〜秋頃には情報を少しずつ出せる予定だ。もちろん、それはこれまでのメディアという枠組みの外へと出ていくもの。非常に心強い仲間も増えており、表に出せる日を心待ちにしている。

designingが目指すパーパスは私たちだけで実現するものではない。だからこそ、同じ志の仲間、クライアント、パートナー含め様々な方と共にプラットフォームへの道を歩みたい。

もし「一緒にdesigningを伸ばしたい」といったお声、ないしは「メディアの外まで射程に入るなら、こういうことができないか」「何らか力になってもらえないかい」といった相談やことがあれば、是非御連絡いただきたい。