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動き続ける「いま」を問いなおす——2022年度グッドデザイン賞フォーカス・イシューが公開

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2022年5月24日、日本デザイン振興会は2022年度のグッドデザイン賞・フォーカス・イシューのテーマを発表した。

フォーカス・イシューは、受賞作品を題材に、各分野における最新デザインとその価値を伝える取り組み。グッドデザイン賞審査委員のなかから選ばれた“フォーカス・イシュー・ディレクター”が、その年の応募作品を審査する過程で「これからの社会における課題や可能性と、デザインが果たし得る役割」について議論し、それぞれが自ら立てたテーマに沿って提言をまとめていく。

今年度のテーマとディレクターは以下の通り。それぞれの詳細はフォーカスイシューのサイトにも記されているので、参照いただきたい。

続いていくデザイン:飯石 藍氏
ちょうどいいデザイン:鈴木元氏
「わたしたち」のウェルビーイングをつくるデザイン:ドミニク・チェン氏
ひとことで言えないデザイン:中川エリカ氏
半径5mの人を思うデザイン:ライラ・カセム氏

designingは昨年度に続いて、フォーカス・イシューの活動に編集パートナーとして伴走させていただくこととなった。審査会やディレクター同士のディスカッションなど、年間を通じて活動のプロセスに参加・取材をしながら、それらを外部に発信・アーカイブしていくための様々なサポートを行っていく。

昨年度のコンテンツについては、以下特集ページにまとめている。

半年以上の伴走で感じた、2つの「重み」

昨年度、designingははじめて審査プロセスに伴走させていただき、実物審査である二次審査から特別賞審査まで、通常はメディアに公開されていない部分を拝見する機会に恵まれた。加えて、フォーカス・イシューの取り組みをより深めるため、受賞者や外部の有識者とイシュー・ディレクターとの対談も設定・取材させていただいた。

半年以上にわたるその議論を拝見する中で感じたのは、「デザインが向き合う対象の多様さ」と「その議論に求められる見識、思考の幅、深度」であった。

ベスト100の受賞作を見てもわかる通り、いま「デザイン」と呼ばれる軸で捉えられる範疇は非常に広い。建築や街作り、電子機器に家具・家電、デジタルプロダクト、仕組み、企業活動……。これらもあくまで“一例”でしかなく、実際に昨年度審査された約5,800件を俯瞰すると「これが、同じ賞に出品されたものなのか」と思えるほどの並びになるだろう。それだけ、社会が捉える“デザイン”の範疇が広がっていることを指し示している。

そして、通常グッドデザイン賞は20あるユニットごとに審査委員がつき、基本的に自身が担当するユニットのものだけを審査する。唯一、フォーカス・イシューだけはその20ユニットを横断して見るのだが、この驚くほど幅の広いものをフラットに見つつ、読み解く作業は途方もない労力を要するはずだ。

無論、それぞれの領域の専門家である必要はないかもしれない。だが、自身の掲げる課題(イシュー)からその意味を捉える作業には、それなりの見識や思考量は不可欠。ベスト100審査のような横断した審査プロセスでも同様だが、それを紐解く作業、繰り広げられる議論には個々の審査委員の力量や視座が強く感じられる。

それだけの議論や知見、視座を集めて選ばれていると知ると、約1,600件の受賞作、BEST100、特別賞受賞作、金賞、大賞の重みも大分異なって見えてくる。正直、昨年度はその“重み”に圧倒されるばかりであった。

2年目ゆえの解像度ある視点を

今年はその“重み”を理解した上で、我々がフォーカス・イシュー、及びグッドデザイン賞に伴走するプロセスを通して、どのような価値発揮ができるかをもう一段考えてみたいと思っている。その意義や意味、重みを実感する我々だからこそ届けられるものがあるはずだ。

実際に、我々自身も昨年度伴走できたからこそ知れた「グッドデザイン賞」「フォーカスイシュー」の魅力が数多くあると感じている。それをいかに広く届けられるかは、我々の力量にかかるところだろう。

すでに、本年度は書類審査の一次審査からプロセスに入らせていただいており、昨年度以上にその実態を解像度高く拝見させていただいている。より解像度が上がったいまだからこそ届けられるものもある。

今年も、そのプロセスに期待いただきたい。

[構成]栗村智弘[執筆・編集]小山和之

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