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デザイン組織の文化作りに不可欠な「学生」と向き合う——グッドパッチ『ReDesigner for Student』リリース

2019年6月10日、Goodpatchはデザイナー特化の学生向け就職活動支援サービス『ReDesigner for Student』の正式リリースを発表した。

同サービスは、2018年5月にスタートした社会人向けの人材紹介事業『ReDesigner』の学生版。2018年12月より学生版のコミュニティを開始、19年3月に一部機能を先行リリースしていたが、本日正式版が公開された。

今回の正式版では以下の機能がリリースされた。学生には「求人・インターン検索」「マッチング」「ポートフォリオ閲覧」「メッセージ」「イベント情報」。企業は「求人ページ作成」「スカウト」「作品検索」「自社デザイナーの登録」を用意。今後「OB/OG訪問」や「タレントプール」といった機能拡充の予定されている。

学生・企業・学校が抱える課題と向き合った半年間

ReDesginer for Studentリリースへとこぎ着けたは、2018年12月から先行で運営していたコミュニティでの手応えがあったからに他ならない。

ReDesigner事業責任者兼キャリアデザイナーの佐宗純氏は、この半年間『どうすればデザイナーになれるかわからない』『求人が見つけられない』『美大に行かないとデザイナーになれないというバイアス』という3つの課題と向き合い、Slackコミュニティの運営や各種イベントなどを重ねてきたという。

佐宗氏「第一線で働くデザイナーの声を聞ける機会や、若手デザイナーがどう働いているかを話してもらうイベント、デザイナーを事業戦略上重視している企業とのMeetup、企業参加でのポートフォリオレビューなど。様々なイベントやSlackでのコミュニケーションを通し、学生が持つ課題と向き合い続けてきました」

課題を抱えているのは、学生だけではない。より多くの学生にReDesigner for Studentを知ってもらうべく足を運んだ、美大・専門学校・総合大学のキャリアセンターでは、どの学校も同じ課題を抱えていた。それが以下の3つだ。

新卒デザイナー求人やサマーインターンシップの情報がなかなか入って来ず、属人的になってしまっている。
就職活動が今年から更に早期化したことで学生のポートフォリオ作成に遅れが出ており、学生間で差が開いてしまっている。
電博を目指す人が圧倒的に多く、目指すデザイン業界そのものが狭くなってしまっている。

これらの課題は、これまで同士が対峙してきた学生や企業が話していた課題感とも同じだったという。

ポートフォリオ機能のUI

一方コミュニティやイベントに参加した学生からは『一般大で、デザイナーの知り合いが少ないので、こういったコミュニティは本当にありがたい』『デザイナーに特化した説明会やポートフォリオのフィードバックを受けられるのは良かった』『他の参加者の方のポートフォリオを見せていただいたりして、モチベーション向上にもつながった』といった声が聞かれた。

 各所で聞かれる課題に共通性があり、それに応える策も見えてきた。故に今回のリリースへとつながったといえるだろう。

拡大するデザイナーニーズ。学生は組織文化に必須

ReDesginer for Studentはプレ登録時点で159校、350人から登録が集まった。その内訳は美大よりも総合大学の方が多かったという。新卒デザイナーというと狭き門のようにも感じられるが、企業・学生の双方と対峙する佐宗氏は、この感覚値は着実に変化してきているという。

佐宗氏「そもそものデザイナーの人口は少なく、需要に供給が追いついていません。であれば、デザイナーの人口を増やすしかない。新卒人材は、企業文化醸成にも重要で、デザイン組織を構築する上では欠かすことのできない存在なのです」

これは社会人向けのReDesignerでも強く感じる動きだという。同サービスはリリースされて1年が経つが、その間には「デザイン経営」宣言や「高度デザイン人材育成研究会」といった社会変化や、デザイン組織を内製化するトレンド、DXの動きも相まって、デザイナーを求める声は徐々に大きくなってきているという。

佐宗氏「三菱UFJ信託銀行様のように、これまでデザイナーを採用してこなかった企業が、デザイナーの採用およびデザイン組織の立ち上げに力を入れはじめています。あらゆる産業がデジタルシフトをしていく中、デザイナーのニーズが飛躍的に高まっていると感じますね」

ReDesignerはこれらの追い風を受け、1年で取引会社は約200社、毎月100名以上のデザイナー登録、累計1000名以上のデザイナーの登録まで拡大してきた。

一方、ReDesigner for Studentでは、人と会社のマッチングだけにとどまらない、価値提供を目指していこうとしている。

「ReDesigner for Studentは、どこの企業に就職するかという出口の提供はもちろん、デザイナーとして働く上での解像度を上げたり、デザイナーを目指す学生を増やすという入口自体も広げていきたいと思っています」

デザイナーを取り巻く非対称性を紐解く

就職活動だけでなく、デザイナーが未来考える機会創出や教育、就職まで。一貫したデザイナーのキャリア支援することを目指し、ReDesigner for Studentは今後も拡大を進めていくという。

企業から見ても、育成、採用、組織化、とデザイナーと向き合う上でのリソースやナレッジはまだまだ不足している。一方デザイナーから見ても、キャリアを考える上での情報や機会は個人に依存されすぎている。

これらの非対称性をいかに紐解いていくのか。そのピースの一つとして、ReDesigner for Studentが担う役割は大きいはずだ。

[文]小山和之[写真]Goodpatch提供

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