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Adobeが語る、AIを用いたUI/UX改善の効果を最大化する3つのステップ——THE GUILD勉強会 #theguild_study

2018年8月23日、THE GUILDが主催する勉強会『THE STUDY by THE GUILD』の3回目が開催された。

今回のテーマは『データ×UXデザイン』。データ活用を第一線ですすめてきた4名が登壇し、講演とパネルトークが行なわれた。

一人目の登壇者は、アドビシステムズ株式会社でシニアコンサルタントを務める山田智久氏。デザイナーの相棒ともいえるアドビは、UI/UXの改善に対してどのようなデータ活用方法を提案しているのだろうか。

山田智久
アドビシステムズ エクスペリエンス ビジネス部 シニアコンサルタント
博報堂アイ・スタジオを経て、2016年2月アドビ入社。デジタルマーケティングプロデューサー経験を活かしつつ、アドビのマーケティングソリューションエキスパートとして、日々、お客様の業務を効率化・売上貢献を実現させるコンサルタントとして従事。
https://www.adobe.com/jp/

AIとデータと組み合わせて効果的な改善を

デザインソフトウェアのイメージが強い、アドビ。

だが、最近では人工知能/マシンラーニングエンジンの『Adobe Sensei』の提供や、コンサルティングチームの組成など、テクノロジーを用いたソリューション提供にも積極的だという。マーケティングソリューションエキスパートとして働く山田氏のもとにも、UI/UX改善にAIを活用したいという相談が寄せられている。

山田智久氏(以下・敬称略)「私がコンサルタントとして関わるのは、デジタルマーケティングの分析や施策実行です。アドビの製品はメディアの最適化から施策の分析とセグメンテーション連携、広告配信の最適化など幅広い領域をカバーできます。AIを使った分析や施策も引き合いが多く、多くの企業様のマーケティングをご支援させていただいています」

山田氏が語ったのは、これまでの経験を元にウェブサイトやスマホアプリにおけるUI/UX改善で、どのようにAIを生かすかというテーマだ。機械学習を用いた分析・最適化施策のスペシャリストでもある山田氏が実践のなかで見つけたのは、AIの役割を定めるための3つの思考プロセスだ。

山田「定量データを用いた分析において、AIは手段にすぎません。やりたいことが明確でないのに技術だけ用意しても効果は出ない。私はデータ解析において、AIの活用方法を決めるにあたり、3つの思考プロセスを踏んでいます。1つめは改善する目的を構造的に分解すること。2つめは、改善目標の設定。3つめは、目標達成のための課題を特定することです。今回は、この一連の流れにおけるポイントをまとめました」

AIを用いたUI/UX改善を3段階で整理する

1つめに挙げられたのは、改善する目的を構造的に分解すること。

山田氏ははじめに、改善プロセスのどこで AI を使うのかというスコープの狭め方が重要だと語る。

山田「改善プロセスにAIを入れるときは、人ができることとAIに任せた方がいいことを切り分けることが大切です。私の場合、はこちらの図にそって切り分けをおこなっています。青枠で囲った3項目は人力でまかないやすく、赤枠で囲った2項目はAIに任せやすい領域です。普段業務でお客様の相談を受けに伺うと、このスコープの整理ができておらず、なんとなくAIでやれないかと考えられていることも少なくありません」

2つめは、改善の目標を設定すること。

特に、目的と目標の間の言語化と、「指標」と「ディメンション」の切り分けが大切だと山田氏は考える。一般的に、指標として扱われるのはページビュー、購入数、離脱率、再生数の数など。ディメンションは、流入経路、デバイス、性別など別物だ。しかし、この切り分けが曖昧なまま話が進んでいることが少なくないという。

山田「目的と目標を言語化し、指標へ落とし込むことで、AIの使いどころが明確になります。ここで気をつけたいのが、指標とディメンションは異なること。この区分けを明確にした上で、指標の善し悪しの判断や、予測、指標に影響を与える要素の発見等に、AIを活用していく意識が必要です」

3つめは、目標達成のための課題を特定すること。

AIに任せるべきものは大きく分けると分析と施策の2つだ。アドビ製品を例にすると、分析では異常値検知の『Anomaly Detection』や『Intelligent Alerts』など、施策では『Auto Allocate』や『Auto Target』、レコメンドシステムの『Personalizerd Recommendations』などが使える。山田氏は、やりたいことが分析なのか、施策なのかを明確にする必要があると指摘する。

山田「単にAIを活用するといっても、『行動パターンを特定したい』『行動債からセグメントを特定したい』『異常値の根本原因と予測を知りたい』という話であれば分析です。一方、『行動内容に沿った情報を出したい』『その人に会った情報を出したい』『自動的に情報を配分させたい』という話なら施策でしょう。AIを活用する領域といっても、分析と施策に分けて整理しなければいけません」

目的を明確にした上で、AI活用を

AIといっても、さまざまな技術が存在する。ゆえに、技術概念だけに気を取られてしまっては、本当にやりたいことを整理できない。

AIを使ったUI/UX改善は、人による十分な交通整理があってこそ効果を最大化できるということが、山田氏の話からうかがえた。

text: Yuuka Maekawa
slide: tomohisa(Speaker Deck)
写真提供: THE GUILD

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