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WeWorkチーフアーキテクトにBIGビャルケ・インゲルスが就任

(『UNLEASH』より転載)

「仕事するのにオフィスはいらない」

そんなタイトルの本が注目を集めたのも、もう10年近く前になる。テクノロジーの進化により、業務上はオフィス無しでもほとんど済む。とはいえ、相変わらずオフィスで働く人は少なくない。

企業は次々と有名建築家やデザイナーが、会社のビジョンや空気感を表したおしゃれなオフィスをこしらえている。こういったオフィス環境は、採用はもちろん、文化醸成にとっても意味をなす。

コワーキングを活用している企業や個人であれば、コミュニティの価値を感じている人も多い。オフィスが担う役割は、単に“働く場”から次の役割へと変化してきている。

働くにとどまらない、WeWorkの提供価値を空間面でサポート

2018年5月8日、『WeWork』は同社のチーフアーキテクトにBIG(Bjarke Ingels Group)を率いる建築家ビャルケ・インゲルスが就任したと同社のブログにて発表した。

ビャルケは、デンマーク出身の建築家。レム・コールハースが主宰する「OMA」や建築事務所「PLOT」の共同設立を経て、2005年に「BIG」を立ち上げた人物だ。

現在では、コペンハーゲン、ニューヨーク、ロンドンなど世界各地に拠点を置き100名以上のメンバーを擁してプロジェクトを展開。わかりやすい例でいえば、デンマークに建設されたレゴのテーマパーク『LEGO HOUSE』などを担当している。

WeWork CEOのアダム・ヌーマン氏はブログでビャルケに対し以下のようなコメントを残している。

「我々は2018年にはWoWorkが入居している全てのビルへ、2019年にはその地区へ、2020年にはその都市へインパクトを与えたいと考えています。(中略)WeGrowを設計する上でもビャルケは重要な役割を果たしてくれました。ビャルケの助けによって、私たちのビジョンはより現実へ近づいていくでしょう」(筆者抄訳)

WeWorkはこれまでコワーキングにとどまらず、住居を提供する「WeLive」やフィットネス、教育機関の「WeGrow」などを展開してきた。従来のコワーキングにとどまらないオフィスの価値を提供している。

ビャルケのチーフアーキテクト就任は、この価値を空間を通して最大化することが期待できるだろう。

建築に限らず組織デザインも

ただ今回のビャルケの加入における影響は空間だけにはとどまらない。組織デザインにも期待が持てる。

2013年のWORKSIGHTで、BIGは100人を超えるチームへ急拡大するにあたり、「チームでの思考」や「ビジョンの共有」を丁寧に行うことで、ひとりの天才(ビャルケ)に頼らない柔軟な組織を構築してきたと語られている。

従来のアトリエ系建築事務所では、天才の手となり足となりメンバーが働く姿が散見されるが、これは全くもってサステナブルではない。ビャルケが実現した「チームでの思考」がもし汎用性のあるものならばWeWorkのアーキテクトチームはより力強いものになることは間違いない。

ビャルケによってWeWorkの組織がどうデザインされ、アウトプットへと影響するのか。今後の変化に期待したい。

img: WeWork Blog, BIG

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