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designing|デザインビジネスマガジン

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デザインの可能性を探究するメディア『designing』のnoteです。事業に寄与するデザインから、クラフト・クリエイティブ、デザイン思想・倫理、広義にデザインと捉えられる活動ま… もっと読む
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2021年9月の記事一覧

デザイン読書補講 8コマ目『陰翳礼讃』

こんにちは。中村です。僕が担当する『#デザイン読書補講』の2回目となります。前回は、中村好文+神幸紀『パン屋の手紙』(筑摩書房)をあつかい、デザインはだれによって、デザインされるのか——そうした「そもそも」のことについて、つくり手たる建築家と、クライアント、そして場の関係性ついて、考えてみました。 さて今回は、少し時間をさかのぼり、昭和初期に記された書物を紹介します。しかも、デザイン関連の人が書いた文章ではありません。谷崎潤一郎『陰翳礼讃』——そう、近代日本文学を代表する人

Shopifyのプロダクトデザイナーが重視する、デザインを適切に”伝える”技術

本記事はShopifyのSenior Product Designer・Kazden Cattapan氏が、Shopify UXに寄稿した記事『Design communication is a critical skill』を公式に許可をいただき翻訳したものです。 デザイナーは、ステークホルダーにデザインについて説明するとき、ワイヤーフレームやフローダイアグラム、モックアップなどの便利なツールを駆使する。視覚的なアーティファクト(中間成果物)を使って、コミュニケーションす

【後編】今こそ「デザイン」と「デザインシンキング」の対立に終止符を──田川欣哉×土屋尚史

本記事は、組織イノベーションの知を耕す学びのメディア『CULTIBASE』との共同企画で、双方の媒体に掲載されています。 経産省・特許庁が2018年5月に発出した『「デザイン経営」宣言』は、ビジネスの世界における「デザインの力」の立ち位置を大きく変化させるきっかけとなった。 しかし、日本におけるデザイン経営の振興に大きく貢献してきた二人の人物は、こう語る。「デザインの力によって企業経営や社会を変えるための取り組みは、まだ始まったばかり」と。 一人は、デザイン・イノベーシ

【前編】デザイン経営宣言が担った真の意味とは。20年の歴史から紐解く背景──田川欣哉×土屋尚史

本記事は、組織イノベーションの知を耕す学びのメディア『CULTIBASE』との共同企画で、双方の媒体に掲載されています。 経産省・特許庁から『「デザイン経営」宣言』が発表されたのは、2018年5月。それ以降、CDO / CXOポジションの登用事例も増え、デザインに関する議論が経営レイヤーにおいても活発に交わされるようになった。 そこから3年。社会におけるデザインの役割や立ち位置は、どのように変わったのか。その実像を探るべく、日本におけるデザイン経営振興に大きく貢献してきた

創造性をもたらすのは、2つの「余白」である——書評『コンテクストデザイン』

「余白があること」と「白紙であること」は同じではない。 何かを書くとき、あるいはつくるとき、何も制限されないまったくの白紙から始まることは、そうそうないはずだ。 どんなテクスト(創作物)も、そこにはコンテクスト(文脈)がある。創作物は多かれ少なかれ、何らかの文脈に立脚するものだ。いかに独創的に思えるものでも、何もないところからは生まれない。豊かなテクストが生まれるためには、肥沃なコンテクストが必要だ。コンテクストとは栄養であり、テクストがその生成物である。 本書『コンテク