#Designship2018、#DesignScramble 2つの大規模デザインイベントを終えて
11月24日にDesign Scrambleが、12月2,3日の二日間Designshipが開催された。
どちらもデザインをテーマにした大規模イベント。designingでは双方いくつかのセッションを取材させていただいた。
詳細のレポートは追ってリリースする予定だが、取り急ぎこの熱が冷める前に体感した現場の空気を少しだけお伝えしたく、筆を執ろうと思う。
「デザイン×経営」の“次”が見えたDesignScramble
Design Scrambleは、渋谷を舞台としたクリエイター・デザイナーのためのデザインフェスティバルだ。
詳細はサイトに譲るが、大手IT企業からスタートアップ、クリエイターまで。“デザイン”と多様な関わり方を持つプレイヤーが渋谷という都市を軸にして、セッションだけで無く物販やインスターレション、体験など多様なコンテンツを用意。フェスティバルという名にふさわしいイベントだった。
designingは『実践者と参加者が一緒に語る「デザイン経営カイギ」』『「デザイン経営」の実践。渋谷メガベンチャー3社のデザイン領域執行役員トークセッション』という、デザイン経営に特化したセッションに参加した。
この2つを選んだ理由は、今年8月、双方に登壇しているビズリーチCDOの田中氏に取材したことで、このテーマにどれだけの人が関心を持つか、そしてどのレイヤーの議論が2018年現在で行われるかに関心があったからだ。
結果としては、どちらも期待を大きく上回る盛り上がりと内容の深さを見せてくれた。前者の「デザイン経営カイギ」では、経営に携わるメンバーだけでなく、スタートアップのトップデザイナーも事業におけるデザインの役割や重要性を強く意識していることが見て取れた。
後者の「渋谷のメガベンチャー…」では、ビズリーチを含む4社がこぞってデザイン領域の経営メンバーを設置していること、そして各々就任への経緯こそ違えど、デザインキャリアだからではなく、経営視点で見てもデザインが担う役割は重要であると語られたのは印象的だった。
大小問わず、テクノロジーで社会を牽引してきたスタートアップには確実にデザインの血がより上流から流れはじめている。テクノロジーの時のそれのように、デザインも大きなうねりを生むのではないか——セッションを聞くなかで、それが当たり前の未来のようにも思えた。
社会に求められている中、どう振る舞うべきかが語られたDesignship
そし、て昨日開催されたDesignship。こちらは、デジタル・グラフィック・プロダクト業界など様々な業界における一流デザイナーが集結し、それぞれの叡智や想いを爆発させる、デザインカンファレンス。
Takram田川氏は『第四次産業革命とデザインの役割』の中で、デザイナーをクラシカルデザイン、デザインシンキング、デザインエンジニアリングとわけ定義しているが、それらを横断し統合的に「デザイン」を語る場はこれまでなかった。
ただ、デザイン経営宣言をまとめるにあたって、多様なデザイナーが肩を並べて今後のデザインのあるべき姿を語ったように、専門領域に問わない「デザイン」を語る場は確かに求められるだろう。
designingでは今回デジタルデザイン、かつビジネスとの接続が語られるセッションを中心にカバーした。『クリエイティブを競争力に デザイナーを10倍輝かせる組織作り(佐藤洋介氏)』『越境するデザイン(田川欣哉氏)』『エクスペリエンスデザイナーとしてチャレンジしてきた俺の屍を越えてゆけ(坪田朋氏)』『デザインコンフィデンス - これからのデザイナーに求められるもの(長谷川敦士氏)』の4つを聞いている。概要はセッション一覧を参照して欲しい。
それぞれ個別で記事を出す予定だが、通して語られたのは「デザインの力が今社会に求められている事実」と「そこでデザイナーはどう振るまいキャリアを重ね、成果を残すべきか」が主だったように感じている。
前者に関しては田川氏、長谷川氏のセッションが詳しい。後者は坪田氏、佐藤氏の話が具体性が高くイメージしやすいものだった。
自分自身認識はしているつもりではあったが、改めて歴史的背景、産業構造の変化を踏まえて、デザインの重要性を言語化されることで腑に落ちる部分は多い。
その上で、今の時代に求められるデザイナー像の正解がまだ積み上がっていない中、試行錯誤を繰り返し、実践を通して成果を上げるトッププレイヤーの話は、今後ますます必要性が増すデザイナーがどうキャリアを重ね振る舞っていけば良いかを知る上では、とても良いナレッジになるはずだと感じられた。
2つのイベントから見えるのは、希望か
双方とも、“デザイン”を取り巻く環境が着実に変化してきていることを明らかにしてくれたイベントだった。
社会的、産業的変化と共に、“デザイン”が担わなければいけない領域が広がっている。それにいち早く気づいた企業や個人や取り組みをはじめ、試行錯誤を繰り返している。このうねりは大きくなり、そう遠くない未来にテクノロジーによる変化と同様な変化を社会にもたらすかもしれない。
では、そのうねりを単なる流行ではなく、変化へと繋げていくには何が必要なのだろうか。また、デザインが変化を起こす先には、どのような未来が描けるのか。そんな想像を広げる良い機会だった。
無論、その手前で取り組まなければいけないことは膨大にある。ただ、“デザイン”の可能性には、大いに期待したい。